「古い家のない町は、思い出のない人と同じです」

カールさんが憂えることに賛同します。

正にそのとおりです。

市町村合併に伴い、その過疎化が更に進み、古来の良さが益々失われていく今の日本。

私の幼少の頃のことです。

その頃は煙の出る機関車が日本のいたる所で走っておりました。

その蒸気機関車の貨物車には多くの木材が積まれておりました。

その頃の日本の家といえば殆どは在来木造建築でした。

当時と較べて減ったものが在来木造の家以外にあります。

それは小中学校の数です。

木に、林業に従事する人が極端に減ったことから、当時あった山間の学校は殆んど無くなっていったのです。

これからの日本の山林はどうなっていくのか？
日本の林業界は、山間の里は、どうなっていくのか？

外材に押されて流通自体を失った日本の材木業界。

極端に減った製材所、更に減った木を乾燥させる窯場。

今の流通では日本の本来の良い家を求めるのは難しそうです。

それなら、本来の良きものを活かして再生させる。

そのカールさんの考えに私は賛同します。

同じ建築家として、故郷が無くなっていくのをこのまま見ていてよいものなのかと。

強いては、日本の木材流通が復活し、日本木材の良さを活かした
新築へと繋がっていければと期待します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ人建築デザイナー　カール・ベンクスさん

1942年、ドイツ・ベルリン生まれ。
絵画修復師の父の影響を受け、日本文化に関心を持つ。
ベルリン・パリで建築デザインオフィスに勤務。
1966年、空手を学ぶために日本大学に留学。以降建築デザイナーとしてヨーロッパや日本で活動。
特に日本の民家に強く惹かれ、ドイツに移築する仕事に携わる。
1993年、新潟県十日町市竹所で現在の自宅（双鶴庵）となる古民家を購入、再生に着手する。
1999年、カールベンクスアンドアソシエイト㈲を設立。
2010年、歴史ある旅館を買い取り再生。『まつだいカールベンクスハウス』と名付け、事務所を移す。
2021年、日本での古民家再生数60 軒に。

受賞歴

2001年　新潟 木の住まいコンクール　入賞
2007年　第2回安吾賞 新潟市特別賞　受賞
2015年　十日町市市制施行１０周年記念　感謝状　受領
2017年　平成28年度ふるさとづくり大賞 内閣総理大臣賞 受賞
　　　　 カールベンクス古民家ファンクラブ 発足

　　　　　　　　　　　カールベングスさんと弊社代表